西日本で活躍した103系には、様々な更新形態が存在しておりました。
そのうちの「30N更新車」と呼ばれるグループの先頭車に関するお話。
30N更新車は、戸袋窓撤去などの既存の延命改造に加えて、屋根上のベンチレータ撤去、前面窓の一枚化などを行う一方、40N更新車で見られた窓枠の更新、雨トイの車体埋め込みは行わないというハイブリッド仕様になっています。
サハを除く6両が30N更新、サハは40N更新の混成編成でした。
上写真は高運転台車ですが、低運転台の30N更新車は2両しか存在しませんでした。
▲モリ25番編成(2006年3月撮影)
西日本の103系更新改造メニューが途中から30Nへと切り替わったわけですが、製造時期の古い低運転台の車両はこの時期までに既に更新工事を受けていたため30N更新の対象外となり、結果的に2両のみしか改造されなかったものと思われます。
その2両は森ノ宮に所属、2006年当時は以下の編成で活躍しました。
モリ12番編成
Tc103-169+M103-246+M102-401+T103-482+T103-483+M103-386+M102-542+Tc103-244
モリ25番編成
Tc103-261+M103-520+M102-676+T103-424+T103-425+M103-521+M102-677+Tc103-800
●モリ12番編成
▲クハ103-244(モリ12番編成) 2006年6月撮影
2004年に低運転台車で初の30N改造を受けた車両です。
モリ12番編成はクハ103-244を含む3両が30N、サハ2両が40N、残り3両が初期車という構成でした。
▲モリ12番編成をクハ103-169側から 2006年6月撮影
2007年には、クハ103-169含む初期車3両と30N車3両を日根野とトレードし、編成中6両が30N車という組成になりました。
(参考)KM10編成(2008年)
Tc103-844+M103-779+M102-2036+T103-482+T103-483+M103-386+M102-542+Tc103-244
●モリ25番編成
▲クハ103-261(モリ25番編成) 年月撮影
2005年に改造された低運転台車のもう1両。
この車両以降延命工事を受けて出場した姿を見た記憶がないので、最後の更新施工車かもしれません。
モリ25番編成はクハ103-261のみ30N、残りの7両は40N更新車です。
▲モリ25番編成をクハ103-800側から 2006年7月撮影
クハ103-800は低運転台車用のスカートを装備していました。
また編成中に新型クーラーを搭載した車両があったことも特徴です。
30N更新工事を受けただけあって、どちらの編成も201系投入後もそのまま活躍を続けておりましたが、2011年にサハを外した6両編成で日根野へ転属しました。
30N低運車を含む日根野の編成(2017年)
HK602編成
Tc103-261+M103-785+M102-2042+M103-521+M102-677+Tc103-800
HK608編成
Tc103-844+M103-779+M102-2036+M103-386+M102-542+Tc103-244
▲HK602編成(2011年7月撮影)
▲HK608編成(2011年3月撮影)
当初はそのままの色で活躍しておりましたが、検査入場時に塗装変更されました。
スカイブルーの30N低運車という新しいバリエーションが誕生したと同時に、オレンジ色の30N低運転台車は見納めに…。
阪和線の103系ラストまで生き延びることはなく、運用離脱、疎開留置を経て2017年に廃車されました。
▲阪和線での運用終了後、宮原電車区に疎開留置されるHK602編成
森ノ宮→日根野に在籍したのみで、見ることができたのはオレンジとスカイブルーのみ。
ウグイス色の30N低運車、見てみたかったですね…。
特にオチはありません。おわり