京都鉄道博物館に展示されている「カニ24形 12号車」が展示を終了するというプレス発表がありました。
https://www.westjr.co.jp/press/article/2023/05/page_22570.html
展示終了の理由としては、「車体の老朽化や部品類の経年劣化に伴い、現行の展示方法で必要になる構内の入換作業等が難しくなってきたため」とあります。
博物館としては、ちょっと珍しい理由。
このカニ24形は普段、本館の一番奥の「車両のしくみ/車両工場」エリアに展示されています。
この展示エリアは、車両をいろんな角度から眺めることができるだけでなく、展示している線路が館外へと続いています。
その線路が本線と繋がっており、現役の車両や新車、引退した車両を線路で運び博物館内で特別展示できるという、画期的な構造になっています。
そのため、何かを特別展示するという際には、普段置いている車両を館外へ運び出す必要があります。
今回の展示終了は、老朽化に伴ってその移動のための入換作業が困難になってきたから、ということだそうです。
特別展示期間中は梅小路の留置線に野ざらしになるわけで、博物館の保存車両のわりには扱いがちょっと…と思っていたものです。
しかし、最近の京都鉄博に行く理由といえば、特別展示を見るためばかりだったので
普段の場所に居る姿はほとんど見たことがありません…。
写真を探していて気付いたのですが、途中から方向転換をしていたようです。
上写真と比べてみてください。
京都鉄博にはトワイライトエクスプレス客車が4両保存されており、カニ24はそのうちの1両でした。
寝台車や食堂車など特徴的のある車両が保存されるなか、カニ24だけは電源車です。
客車に電気を送るという、ブルートレインの仕組みを伝えるには必要な車両ではありますが、それでもほかの車両と比較すると地味なので、よく展示対象に選定されたなとは思います。
でも他に各地で保存されているブルートレイン客車って寝台車ばかりで、電源車って少ないんですよね。(元あけぼのの車両くらい…?)
貴重な保存例だったので、勿体ないなと思います…。
動かさなくていい場所で保存、は難しいんですかね…。
で、代わりに何が展示される?という話になると、想定されるのは先日収容されたマイテ49形でしょうか。
今は扇形機関庫内で展示されていますが、京都鉄道博物館のHP上の車両紹介では、カニ24と同じ「引込線」のページに掲載されています。
https://www.kyotorailwaymuseum.jp/enjoying/watching/vehicle/siding/
ここには同じく旧形客車のオハ46形もいますので、連結させても良い感じですね。
ただ、ここに保存されるということは、特別展示の際に毎回引き出され、屋外に放置ということになるので…また今後も老朽化→移動不可→展示終了という流れが心配されます。
マイテ49に限らず、どれも貴重な保存車両ですので、あまり酷な扱いはしてほしくないところです…。
展示車両が入れ替わったケースは近年にもありました。
JR東海が運営する名古屋の「リニア・鉄道館」です。
300系新幹線量産車は展示入れ替えのために、開館から3年も経たないうちに撤去。
代わりに700系の試作車が展示されています。
381系のパノラマ先頭車、クロ381は、改造車であるが故に改造箇所から経年劣化が発生したため撤去。
代わりに屋外で休憩用車両として展示されていた117系の先頭車1両が館内に移動して展示されています。
117系の残りの2両は撤去されました。
全国各地に保存されている鉄道車両。
丁寧に手入れをされている車両もあれば、野ざらしで朽ちてゆく車両もあります。
博物館のような展示施設の収容物となれば、車両にとっては安住の地。
だと思っていたのですが…。
こういった形で引退するケースもあるということですね…。
現在、カニ24は展示終了前の企画ということで、マイテ49と並べて展示しているそうです。
改めてじっくり観察しに行ってみるのも良いかもしれません。